学術書・専門書 販売

賢治とモリスの環境芸術

時潮社学術書・専門書思想・哲学カ行賢治とモリスの環境芸術
賢治とモリスの環境芸術
数量:

大内 秀明【著】
『ユートピアだより』から「イーハトヴ」へ。一八九六年没したW・モリスの芸術思想は、奇しくもこの年に生まれた宮沢賢治の世界へと引き継がれた。多くの実践的取材、菊池正「賢治聞書」の新資料の発掘、一〇〇点を越す写真・図版など、二人の天才を環境芸術の先達と解いた本書は、二一世紀「新しい賢治像」の提示である。

著者
大内 秀明
出版年月
2007年10月20日
ISBN
978-4-7888-0621-4
販売価格
本体2,500円+税
サイズ
A5判
製本
並製
頁数
240ページ
備考

著者紹介

大内 秀明(おおうち・ひであき)

1932年東京生まれ。
1955年東京大学経済学部卒業。
1992年東北大学退官。
1993年東北科学技術短期大学学長、東北大学名誉教授。
2003年東北文化学園大学総合政策学部長退職。
現在、(社)中小企業研究所理事長、(財)にやぎ建設総合センター所長

主な著書に『価値論の形成』(東京大学出版会)、『資本論の常識』(講談社)、『知識社会の経済学』(日本評論社)、『恐慌論の形成』(日本評論社)ほか

書評の紹介

河北新報 2007年12月17日
農村建設の時代に焦点
数多くの童話や詩を残した宮沢賢治には、農業指導に当たる傍ら花巻の地域の人たちと音楽会や創作劇などの楽しみを共にし、新しい農村の建築に精魂を傾けた「羅須地人協会」の時代がある。本書は、賢治のこの活動に主に焦点を当て、その思想の流れと現代的意義を問い直している。
タイトルにある「モリス」はW・モリス(1834-96年)のこと。著者は、19世紀の英国の社会主義者で世界的なアート&クラフト運動の創業者であるもリスの社会・芸術思想を賢治が学び、その継承と発展に人生を懸けたと書く。
モリスは産業革命に 伴う単純労働の商品化を批判し、共同体を基礎として生産や労働の復権や、文化・芸術の再建をしようとしたという。
賢治もまた、「これからの百姓は芸術をとり戻して楽しく働くようにならなければならない」と、羅須知人協会に集まった農業青年らに説いた。
モリスから賢治へ-の論証にあたって著者が重きを置いているのが「賢治聞書」。賢治没後39年の1972年、賢治作品の親しんでいた元教師が羅須知人協会の元メンバーから賢治の事を聞きまとめたものだ。
元教師の快諾を得て本書に収録された、2編に渡った聞き書きからは、1926(大正15)年から数年の当時の時代の世情、賢治の人柄などが伝わってくる。
賢治とモリスをつなぐキーワード「環境芸術」とは、「はた(周り)を楽にする<働くこと>の意義とも通じる、暮らしの中に息づく美」とでも言えばいいだろうか。
著者は東北大名誉教授。仙台郊外に2人の精神を吹き込んだ市民交流のための別荘を設け「賢治とモリスの館」と名付けるなど,大の賢治・モリスファンの1人であることも間違いがないようだ。

聖教新聞 2007年12月26日(金)
宮澤賢治には、19世紀イギリスの美術工芸家モリスの強い影響があるという。それは二人が共に、環境や労働に美と喜びの創造を目指した「審美的社会改革家」だったからだと著者は指摘する。
これは、賢治研究への新たな視点であるにとどまらず、労働が非人間化の極みにある現在、未来への貴重な提言である。
青木やよひ(評論家)

お問い合わせ

電話でのお問い合わせはこちら 03-5915-9056
お問い合わせ
ページの先頭へ