ゆたかなくらし2024年10月号
立ちはだかる高額負担で国民から遠のく介護保険制度
第8期介護保険制度改定における厚労省の最大の眼目は限界にきている利用者負担に、さらにいかに上乗せするかでした。
本年5月には財政制度等審議会も「今後も増大し続ける多様な介護需要」に対して、介護保険事業者に「介護保険外の民間企業による関連サービスで対応していくこと」、これによって自らの「収益の多様化、経営基盤の強化」を図り、さらには「職員の賃上げ」の原資にすることまで求めるありさまです。まさに全面的な介護の商品化、市場化です。
骨太方針2024も「介護保険外サービスの利用促進」を掲げ、国民に「自己責任と自助努力」を求めています。
軽度者への生活支援・介護予防は「自助・互助」を促進し、中重度者には「重点化・効率化」で「共助・公助」を抑制する、介護保険サービスは身体介護が必要な重度者に重点化、要介護度の低い人や、身体介護を必要としない者は、公的サービスから切り離すものです。これが2025 年を目途とする「地域包括ケアシステム」の本質でもあります。
- 著者
- 全国老人福祉問題研究会 編
- 出版年月
- 2024年10月1日
- ISBN
- 978-4-7888-9063-3
- 販売価格
- 741+税
- サイズ
- B5
- 製本
- 並製
- 頁数
- 64ページ
- 備考
著者紹介
介護保険外サービス活用が促進される高齢者介護~自費によるサービス「購入」拡充路線~ 石川由美
一人のケアマネジャーが感じる介護費用負担の実態と問題点 三浦智章
独居が難しくなってからの6年余り、九十歳を過ぎた母親の介護費用の実際 K・O
“公的介護保険だけでは安心できない”民間介護保険加入者の実態と思い(上) 本誌編集部