国に抗し住民要求に応える自治体の高齢者医療・福祉施策を事例から考える
西欧諸国では個別の福祉政策の実施と管理責任は、基本的に自治体が担っています。
しかし、介護保険制度が象徴するように、わが国では高齢者福祉をはじめとして医療・福祉施策は、国（政府）が地方自治体を中央集権的かつ強権的に管理・統制しながら運営させているのが特徴です。
国は何よりも財政の増嵩を嫌い、自治体に対し煩雑極まる規制を構築して金縛りにし、最低経費での施策運営を強要することだけが国の役割であるかのようにふるまっています。その施策は当然のこととして、自治体が住民の要求を最低限のところで抑制せざるを得ない悲惨な状況を噴出させています。
しかし、そのようななかでも多くの自治体は住民の福祉を守る矜持を捨ててはいません。国の抑圧に抗し、“統制”の隙間を縫って住民の福祉を守る独自施策を継続し抜いている自治体も少なくありません。