ゆたかなくらし2022年2月号

いまや、行政担当者や介護・福祉従事者のあいだですら措置制度を知らない人も増えてきました。
しかし、戦後、社会福祉の責任が国と地方公共団体にあることを明確にした憲法25 条に基づき具体化されたのが措置制度です。
老人福祉法には市町村よる老人福祉施設への入所や在宅福祉の措置をする義務が規定され、介護保険施行20 年以上を経過した現在も存続しています。
福祉の公的責任がかぎりなく後退し、市場化、営利化などにより、シルバー産業が高齢者を顧客に福祉を「商品」に収益を競っています。その一方で、貧困な高齢者が路傍に放置され、措置制度は残された公的責任の福祉復権の足掛かりとしても重要な位置にあります。なかでも、措置施設としての養護老人ホームは、経済的、環境的要因から自宅での生活が困難な高齢者の生活を公的に保障する役割を果たしていますが、措置費が市町村の一般財源化されて「措置控え」が進み、充足率低下、入所者の高齢化・要介護化、「特養化」が進み、財政難、施設老朽化など「公的に追い込まれて」いる現状があります。
- 著者
- 全国老人福祉問題研究会 編
- 出版年月
- 2022年2月1日
- ISBN
- 978-4-7888-9031-2
- 販売価格
- 741円+税
- サイズ
- B5
- 製本
- 並製
- 頁数
- 64ページ
- 備考
著者紹介
■特集 養護老人ホームの現状から社会福祉の公的責任を問う
● 養護老人ホーム入所にかかわる公的責任~措置制度に焦点をあてて~ 高田清恵
●養護老人ホーム~高齢者福祉の原点・老人福祉法措置施設の現状と問題を考える~ 小川正和
●苦悩のなかで事業転換を模索する養護老人ホーム~恵泉園の歴史といま~ 早川博之
●養護老人ホーム 高齢者福祉の原点は『いま』~介護保険制度の補完ではなく措置の拡充を~ 山中宏和