学術書・専門書 販売

ゆたかなくらし2021年5月号

時潮社学術書・専門書月刊ゆたかなくらしゆたかなくらし2021年5月号
ゆたかなくらし2021年5月号
数量:

労働者協同組合法の施行に関わって

2020年12月4日、超党派で国会に共同提出された労働者協同組合法案が全党一致で可決されました。公布後2年以内の政令で定める日から施行されますが、今後、労働政策審議会の意見を聞き、国会の審議を踏まえた政府の指針が定められます。
過労死、過労自殺が相次ぎ、働くことで殺される事例がごく一部とはいえないわが国の実態は、本法が第1条がいう「各人が生活との調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就労する機会」が「確保されていない現状」そのものであり、「介護、障害福祉、子育て支援、地域づくりなど幅広い分野で、多様なニーズが生じており、その担い手が必要とされている」(本法提案理由)なかで、営利を目的とせず、組合員の「それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、及び組合員自らが事業に従事することを基本原理とする」働き方を基本に、地域社会に貢献する活動としての位置づけが基本指針等において確立されることが期待されます。
一方、労働者協同組合をめぐっては、このような理念や原理の是非だけでなく、公的責任・事業の縮小と民間委託の流れの中での競争原理が極まる中で、その運営の厳しい現実についての評価も一定ではありません。また、12月に最終案が出された政府の「全世代型社会保障の改革」方針では、社会保障の支え手の拡大策として70歳までの就業機会の確保(厚生年金への加入)を挙げています。これは、事実上の公的年金の開始年齢の引き上げを図りながら、「兼業・副業、フリーランス等雇用によらない働き方」を押し進め、すべての国民をなりふり構わず70歳まで働かせる政策でもあります。今次の労働者協同組合法は現在、高齢者の就労保障が不十分でその打開策もままならない状況の中で、こうした国の政策の受け皿として期待されているのも事実です。
労働者協同組合法は、このように、理念と現実の狭間に置かれている法といえます。本誌では、本法の多面的な側面を、今後も取りあげていく予定ですが、今回の特集では関係する団体等から忌憚のない見解を寄せていただいています。

著者
全国老人福祉問題研究会 編
出版年月
2021年5月1日
ISBN
978-4-7888-9022-0
販売価格
741円+税
サイズ
B5
製本
並製
頁数
64ページ
備考

著者紹介

●労働者協同組合法案はどのように審議されたか~国会の論議から~ 本誌編集部
●ケアワーカーが主体性を発揮し、利用者、地域と共につくるコミュニティケア ~労働者協同組合法の制定が切り拓く新たな可能性~ 田中羊子
●労働者協同組合法成立と東京高齢協 田尻孝二
●高齢化する地域の安心をつくるために~高齢協は労働者協同組合高齢者版として誕生~ 坂林哲雄
「資料」労働者協同組合法について/労働者協同組合法概要

お問い合わせ

電話でのお問い合わせはこちら 03-5915-9056
お問い合わせ
ページの先頭へ